東京地方裁判所 昭和45年(借チ)1021号 決定
〔主文〕1 申立人が別紙目録(二)記載の改築をすることを許可する。
2 申立人は、相手方に対し、金三六六、〇〇〇円の支払をせよ。
〔理由〕一、本件申立の要旨
1 乳原己代治は、昭和二〇年九月六日相手方から別紙目録(一)記載の土地(以下「本件土地」という。)を含む土地を普通建物所有の目的で賃借し、その後申立人らが賃借人の地位を承継し、同三九年七月五日相手方との間に、本件土地につき、期間を同五九年七月四日までとする旨の更新契約を結んだ。
2 申立人らは、本件土地のうえに、家屋番号高砂三丁目四七二番二木造瓦葺平家建宅15.75坪(52.06平方米)(現況586.7平方米)の建物を所有しているが、これを取りこわし、別紙目録(二)記載のとおり改築しようと計画しているところ、本件賃貸借契約には増改築禁止の特約が存するので、相手方の承諾を求めたが、承諾料につき協議がととのわないので、右承諾にかわる許可の裁判を求める。
二、当裁判所の判断
1 本件で取調べた資料によれば前記一の事実のほか、申立人の別紙目録(二)記載の改築計画は、土地の通常の利用上および法令の制限上相当であることが認められ、他にこれを不当とする事由はない。そこで、本件申立は認容すべきである。
2 附随の処分について検討する。
鑑定委員会は、本件土地の更地価格を3.3平方米当り金五〇〇、〇〇〇円としたうえ、申立人に対し、財産上の給付として、更地価格の三%にあたる金三六六、〇〇〇円を支払わせるのが相当であるとしている。
ところで、本件改築は、既存建物を取りこわし建てかえるもので、建物の朽廃時期を遅らせ、借地期間を延長させ、期間満了時に正当事由の要素として借地人に有利な要素となる等の利益を与え、他方賃貸人にこれに応じた不利益を与えるのであるから、財産上の給付により、申立人らの受ける利益と相手方の蒙むる不利益を調整することを要する。しかして申立人に命ずべき給付の額は、本件賃貸借の残存期間、既存建物の耐用年数を考慮したうえ、従前の裁判例に徴し、鑑定委員会の意見のとおり本件更地価格(3.3平方米当り金五〇〇、〇〇〇円)の三%にあたる金三六六、〇〇〇円と定めるのが相当である。なお、借地期間、地代を変更する必要は認めない。(筧康生)
目録 (一)
東京都葛飾区高砂三丁目九三七番一
宅地 1471.86平方米(445.24坪)のうち80.62平方米(24.39坪)
目録 (二)
(改築計画)
既存建物を取こわし
木造瓦葺二階建居宅・店舗
一階 59.48平方米
二階 57.50平方米に改築する。